上野憲幸×高澤知史

高澤
それでは宜しくお願いします。まず、WILDに入会した「きっかけ」から教えていただけますか?

上野
きっかけは詳しくは知らないだよね〜(笑)多分、自治体に配っているチラシを見てかな。それを見たお祖母ちゃんが勧めてくれたみたいだね。初めは試しにやってくればって感じだったんじゃないかな。


チームプレーに見えて、実は個人プレーの集合体

高澤
じゃあ次のお題に。フラッグフットボールの魅力とは何ですか?

上野
フラッグの魅力ね。アメフトと共通するかもしれないけど、チームプレーに見えて、あれは実は個人プレーの集合体であって、5人の一人一人に明確な役割がある。その役割を一人一人が果たすことによってボールが前に進む。要は、個人プレーとチームプレーの集合体。しかも、その場その場の対処が必要で、頭を使って反応しなければいけない点かな。あとは、体力や個人の能力というものがそんなに重視されない。やっぱり一人一人が役割を果たせばいいってことだよね。

高澤
その点がフラッグの教育的価値にも繋がりますね。何か他にもありますか?

上野
最初、競技自体はわかりにくいのかもしれないけど、基本はボールを前に進めればいいだけ。しかも、走る・投げる・捕る、全ての基本動作が必要。そこは子どもの育成にも、バランスのとれた競技であるということが言えるんじゃないかな。


自分の弱点や弱い部分を克服するマインドを持って欲しい

高澤
父親として、スポーツを通じてどう成長して欲しいですか?

上野
そうだね〜。難しい質問だね(笑)自分の弱点や弱いところを克服するマインド、そのマインドを持ってもらう。そういうのを伸ばしていく気持ちを常に持って欲しいかな。上手くなるとか、強くなるとか、そういうのは二次的なものだね。個人的にはそれが目的ではなくて、もっと速く走る、もっと遠くに投げる、そのためにどうしようとか、そういう気持ちを持って欲しい。相手が強かったら逃げるとかではなく、勝つためにどうしたらいいか、自分が生かせるところはどこなのか、考えるようになって欲しいね。

高澤
考える過程を通して結果的に上手くなるのと、ただ上手くなるのとでは、同じようで違いますよね。

上野
そうそう。強いというのは相手と比較した結果でしかないから。試合に勝とうが負けようがどうでもよくて。その先の色々なことに繋がることが重要だよね。


楽しいだけのクラブから、勝とうというチームに変わった

高澤
4年間WILDを見てきた上野さんだからこそ聞きたいんですが、この4年間のWILDの変化はどこにありますか?

上野
やっぱね〜みんなそう感じているのかもれないけど、「楽しいだけ」のクラブから「勝とう」というチームに変わったんじゃないかな。当然ね、最初はコーチもフラッグを始めたばっかりの人たちだったから、他団体に勝とうなんておこがましかったから、当時は楽しくやろうってだけだったよね。

高澤
そうですね。当時は、スポーツの楽しさを知ってもらう、伝えたいって思いでやってた活動だったので。

上野
それが対外的な試合を始めてからだと思うんだけど、それから意識が変わったよね。実際に、そうしたから辞めちゃった子達もいるのでは?どちらが良いとは言わないけども、変化としてはそうだと思う。

高澤
ちなみに、その勝ちたいって気持ちが芽生えたのは、子どもたちが先ですかね、スタッフが先ですかね?

上野
どっちだろうな〜。個人的にはスタッフが先の気がする。でも、4年も子どもが同じスポーツを続けるってことは楽しいだけじゃだめだったんじゃないかなって気もする。でもね、でもね、中途半端だよね。

高澤
今現在はやっぱりそう感じますか?

上野
勝ちたいの?楽しくやりたいの?楽しくやりながら勝ちたいってのはすごく分かる。でも、目標がなければそれは不可能なんじゃないかなって思う。目標のないまま勝とう、勝とうってなってる感はあるよね。自分がどのポジションにいて、どのレベルなのかってことを認識しないとね。その上で、団体として指標や目標をどこに置くのかも大切だし、個人としてこのプレーなら天下一品、誰にも負けないよっていうのを子どもに持ってもらうのも大切かな。


スタッフ達を保護者が支えてあげたい

高澤
保護者とスタッフの関係はどう考えていますか?

上野
スタッフは子どもを指導してくれる人達。ただ、学生だってことは分かっているからあまり高望みはしていないかな。逆に、スタッフ達を保護者が支えてあげたい。そんな感じが良いんじゃないかなって。

高澤
上野さんから見て、今のWILDはその関係が築けていますか?

上野
そうはなってない気はするよね。悩みだとか困っていることだとか、できることはやってあげたいなぁとは思うよね。もう少しコミュニケーションが必要かな。

高澤
お互いもっと干渉しあっても良いってことですかね?

上野
スタッフが遠慮してるでしょ(笑)


子どもとコーチが一体というか、曖昧な関係

高澤
他団体と比較して、WILDの良い点ってどこにありますかね?

上野
よく分からないけど、他団体は子どもとコーチの関係が、大人対子ども、完璧な上下関係になっているんじゃないかな。でも、WILDはそうじゃないと思う。完璧な上下関係じゃない。そこが楽しさの所以なのかもしれないね。並列とも言わないけど、一体というか曖昧な関係。

高澤
その分、子どもが伸び伸びとできるってことですかね。

上野
年の離れた人たちとわいわいやれる、ある意味大人と一緒になって遊べる機会なのかもしれないね。


色々な小学校の子ども達が交流する場

高澤
いよいよ最後の質問となりますが、今後のWILDに望むことはありますか?

上野
もっとフラッグフットボールを広めて欲しいね。所沢市全部とは言わないけど、練習拠点である北野総合運動場周辺の小学生にはもっと来て欲しいよね。やっぱり色々な小学校の子どもが活動する姿が見たいかな。WILDに来たら出会える、中学に上がったら一緒になったり、部活の大会で会うとかさ、そういうのって良いよね。

高澤
学校を越えて子ども達が触れ合う、その橋渡しをしていきたいですね。

上野憲幸
WILD発足当時から姉妹を入会させる。姉妹は現在も元気に活動中。スタッフを4年間見守ってくださった良き相談相手でもある。

高澤知史
WILD発足当時からスタッフを務める。子ども達からは「サトシ」の愛称で親しまれているムードメーカー。

Satoshi

Satoshi

*この文章は2009年のWILD359ers作成のフリーペーパー「Take Action Project」に掲載されたものです。